副業・個人事業主・合同会社・株式会社など起業の選択肢

ビジネスを始める選択肢としては、会社員として働きながらの副業(複業)、独立しての個人事業主、合同会社や株式会社といった会社設立などの方法があります。

経費や人手をかけないスモールビジネスからスタートして、手応えを感じてから規模を拡大して法人化するという流れもあれば、最初から綿密に計画して設備投資や販路確立を行い株式会社として起業するケースもあります。

このように起業をする方法はいろいろあるので、自身の環境やスキルに合わせてビジネスの形態を決めることができるようになっています。

副業の場合は会社員という立場を維持しながら、ビジネスを個人事業主としてスタートさせることが多いでしょう。(副業でもいきなり会社設立をするケースもありえます)。

そうするとビジネスのスタート時の形態では、個人事業主・合同会社・株式会社の3つから選択することになります。

これら3つのビジネスの形態について、それぞれの特徴を解説します。

個人事業主

個人事業主として開業をする場合には、税務署に開業届を提出するだけで済みます。

会社設立と比較してスタート時の手続は圧倒的に手軽です。

ただし、ビジネスの内容によっては官公庁に営業許可の申請をしなくてはならないケースもあります。

例えば、飲食店であれば保健所(飲食店営業許可)、中古品売買であれば警察署(古物商免許)、アルコール類の物販であれば税務署(酒類免許)のように許認可が必要になるものもあるので事前確認が必要です。

また、許認可は必要なくても法律で指定された様式の契約書を用意しなくてはいけないものもあります。

例えば、訪問販売・電話勧誘販売・学習塾・パソコン教室などは特定商取引法に準拠した契約書を用意して契約者に交付する義務があります。

(関連情報)訪問販売や学習塾等の契約書雛形サイト|遠山行政書士事務所

https://tokutei.biz/

そうした許認可や法定契約書交付の必要が無いビジネスについては、記帳会計をしっかりとやって年に1回の確定申告を行えば合法的に営業が可能です。

スモールビジネスなら、個人事業主からスタートするのが手間もコストもかからないためよいでしょう。

株式会社と合同会社

取引規模も大きく従業員を雇用するようなビジネスなら会社組織にして持続的成長を図ることが適切です。

会社組織にすることで社会的信用も得られ、取引先が広がって様々な融資や助成が受けやすくなるメリットもあります。

株式会社と合同会社を比較すると下表のようになります。

会社類型

出資も経営も一人で行う場合には、株式会社も合同会社(持分会社)も実質的な違いはありません。

しかし、共同出資や共同経営を行う場合には、経営権の持分について扱いが異なります。

株式会社の場合、その会社に対して出資した金額の違いによって、権限が強くなったり弱くなったりします。出資金額と持ち株数が比例するので、出資金額が大きい方が経営の決定権を握ります。

それに対して、共同経営者の信頼関係を機軸として経営をすることを前提とする持分会社である合同会社では、出資金額が異なっても経営権の持分は平等となります。経営の決定は共同経営者同士の話し合いで定めることになります。

共同経営の場合には、経営の決定権を最大出資者に持たせるには株式会社、経営の決定権に優劣をつけない場合は合同会社という選択になります。

出資者責任

株式会社も合同会社も、出資者の責任は間接有限責任となります。

間接有限責任とは、出資者(株主)が拠出した範囲内において限定的に責任を負うにとどまるということです。例えば、会社が倒産したときなどは、会社債権者等に対して発行済み株式や企業が保有する資産の範囲内で責任を負えば済むというものです。

(ただし、金融機関からの借入で経営者が個人保証をしていた場合等では、個人資産に対しても差押をされることになります)。

出資金

株式会社も合同会社も最低資本金額の定めは無いため、極端な話として資本金は1円でもあっても会社設立が可能です。

ただ、資本金は対外的な信用指標になるため、あまりに少額の場合は商売を続ける上でデメリットが生じる場合があります。

金融機関から借入をする場合でも、「融資限度額は、資本金の額の2倍まで」という内規を設ける例もあるので、事業計画に合った資本金を用意したいところです。

決算の公表(決算公告)

株式会社は、決算ごとに貸借対照表等を官報や新聞、インターネットで公告しなければなりません。

合同会社についは決算公告は不要となります。

利益・権限の配分(内部自治)

株式会社は利益・権限の配分は出資者の出資額に比例しますが、合同会社は社内規定によって自由に決定することができます。

機関設計

株式会社では、株主と経営者は必ずしも一致しないため、経営者を監視する機能として株主総会と取締役は必要設置機関になります。

合同会社では、出資者と経営者が一致している前提のため、経営者を監視する機能としての株主総会や取締役会、監査役の強制的な規制はなく、定款により自由に定めることができます。

役員の任期

株式会社には役員に任期(最長10年)があり、定期的に改選してその都度に登記が必要です。

合同会社の役員には任期はありません。

株式の公開

株式会社が株式を発行する場合、その発行する株式の全てを、会社の許可なしに勝手に他人に譲ってはいけないという制限(譲渡制限)をつけることも可能です。

そうした譲渡制限をつけない株式の公開も可能です。公開会社にする場合は、 取締役会と監査役1名以上必要なので、会社を設立する際には、最低でも4名の人が必要となります。

合同会社では株式の公開制度はありません。

合同会社と株式会社の比較は以上のとおりです。

ビジネスの規模や運営スタイルを考慮して、個人事業主・合同会社・株式会社等の組織形態を決めるとよいでしょう。

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